夜。
はしゃぐ中学生を横目に
自転車を漕ぐ。
音量を示す四角を5つにしたiPhoneから、イヤフォン、耳へ。
情けない歌詞を書く、かっこいい男のロックを流しながら。
漕ぐ。漕ぐ。
エモい歌詞に心が震える。
目が潤む。
続く坂道に疲れているのか。
叶える勇気のない恋を想ったのか。
理由はわからないけど。
胸が苦しくて。
息が詰まる。
歌詞を口ずさみながら。
君を想う。
悲しいことがあったわけでもないのに。
目が潤む。
信号待ち。
息を切る。
目を閉じると、瞼が熱かった。
虚無。
なんとなく。
目が潤むくらいに、君が好きなんだなあ、と思った。